リオデジャネイロのパエス市長が豪州選手団に「市の鍵」を手渡した=27日午後1時29分、ブラジル・リオデジャネイロ、樫山晃生撮影
リオデジャネイロ五輪の選手村のトイレの詰まりやガス臭を指摘し、一時は入村を拒否していた豪州選手団が27日、リオ市長と和解のセレモニーをしたうえで入居した。だが選手の不満はまだ尽きない。
リオオリンピック2016
「メンテナンス上の問題が多く、状況は最悪だった。申し訳ない」。リオ市のパエス市長はセレモニーで謝罪し、リオのカーニバルの開幕を告げる儀式で使う「市の鍵」を模した鍵を、キティ・チラー豪州選手団長に手渡した。同席した豪州の男子ホッケー代表には「五輪ではブラジルとライバルになるが、私はブラジルの次に応援する。ブラジルと同じ黄色いシャツだから、応援しやすい」。
市長にカンガルーの人形をプレゼントしたチラー団長も「部屋は劇的に改善された」と友好ムードを演出した。
だが日本選手からはこの日、困惑の声が上がった。26日に入村した体操男子の山室光史は「トイレがおしっこ臭い」。トイレの水を流すと、便器と床面の接合部分から水が染み出すという。内村航平は、シャワーを浴びている途中にお湯が水になり、慌てて隣の部屋に駆け込んだ。「予想はしていたけど、実際に起きると嫌ですね」と苦笑した。
25日付の地元紙は、「大会組織委員会は、31棟のうち15棟で仕上げや掃除の作業が完了していないことを認めた」と報じている。(前田大輔)