大野将平の「大外刈り」
柔道男子66キロ級の阿部一二三(ひふみ)(18)=日体大=は日本代表が集う6月の合宿で、男子73キロ級のリオ五輪代表、大野将平(24)=旭化成=に、何度もたたきつけられた。「桁違いの強さ。上半身を固められて身動きが取れなくなったところに刈り足が飛んでくる」。分かっていても防げないと言われる大野の大外刈り。その威力を、しかと体に刻みつけた。
特集:リオオリンピック
兵庫・神港学園高2年時に初出場したシニアの国際大会「グランドスラム東京」で初優勝を果たした阿部は、リオ切符こそ逃したものの、4年後の東京五輪で頂点を狙える逸材だ。1階級上の選手が相手とはいえ、1度の乱取りで複数回の一本を取られる無様な姿をさらすことはそうそうない。だからこそ、大野の圧倒的な強さが際立った。
大野の大外刈りを動画で確認した阿部は、二つの特徴に気づいた。一つは引き手(左手)で、一般的な袖ではなくわきの下辺りをつかむこと。「体幹に近いわきを持っても、普通は相手の体をなかなか動かせない」。体の軸の強さは阿部の売りの一つでもあるが、大野はそれを上回るという。
もう一つは軸足(左足)を1度…