リオデジャネイロ・パラリンピック(9月7~18日)の日本選手団(選手127人、役員ら98人)の結団式と壮行会が2日、東京都内のホテルであった。選手たちは金メダル10個の獲得と2020年東京大会につながる活躍を誓う一方で、相模原市の障害者施設であった殺人事件に触れ、共生社会の実現への思いを口にした。
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結団式であいさつに立った日本パラリンピック委員会の鳥原光憲会長は、「スポーツを通じた障害者の自立と社会参加の実現を半世紀以上にわたって推進し、変革が進みつつあるなかで起きた凶悪な事件を許すことはできない」と話した。
選手らは被害者に黙禱(もくとう)を捧げた。主将で、4度目の出場になる車いすバスケットボールの藤本怜央(32)は「私は競技者としてまだまだ伝えることがある、パラ選手として自分の役割がある、と強く感じた」。旗手を務める車いすテニスの上地結衣(22)は「事件を知り言葉を失った。自分たちが障害者スポーツの良さをまだ伝えられていないと痛感した」と話した。
水泳や陸上、卓球には知的障害がある選手が出場する。水泳の宮崎哲(24)の母、義恵さん(55)は「ニュースを見るたびに落ち込んでしまう。息子のような子どもも頑張っているんだということが大会を通して伝わればうれしい」と述べた。
このほかにも、車いすマラソンで夏冬通算7回目の挑戦をする土田和歌子(41)は「あまりに悲惨な事件で、自分ができることはないのかもしれないと思ってしまう。でも、障害のある人たちが守られるような環境作りをするために、スポーツやパラリンピックを通してアピールしたい」と語った。
走り幅跳びで金メダルが期待される山本篤(34)は「なんともいえない気持ちになった。鳥原会長がいったように、僕たちはスポーツを通じて障害者が自立して、共生していく社会を目指していく」。ロンドン大会の知的障害者水泳金メダリスト、田中康大(26)の母紀子さん(56)は「障害者と健常者がお互いに違いを責めるのではなく理解し合う社会になってほしい」と語った。(斉藤寛子)