元安川対岸の原爆ドームを背にたたずむ二階堂和美さん=広島市中区、青山芳久撮影
歌手の二階堂和美さんは、広島平和記念資料館に展示されている焦土に咲くカンナの花をモチーフに作詞した「伝える花」を昨夏、リリースした。生き残ったものの苦しむ被爆者に思いをはせ、「生きる力 流れる川 私たちは生きてる」と歌う。芽吹いた花から感じた希望を託して――。
赤い命の花、ヒロシマに芽吹いた 焦土に咲いたカンナ
原爆資料館にカンナの写真展示 元館長「希望感じて」
8・6「原爆の日」まとめ読み
特集:核といのちを考える
昨年1月。資料館を訪れ出口に展示されたカンナの写真を見て足が止まった。「ようやく見つかった」。全てを失い、絶望が広がったであろう70年前の人たちの思いを想像した。「このカンナを目の前にした時、どれほどの希望と勇気を与えられただろう」
気づくと15分、写真を眺めていた。車に向かう途中で詞と主旋律が浮かび、曲の原型が生まれた。
1番では当時の人の思いを、2番では現代に生きる自らの意思を投影した。「生きる力 流れる川」のフレーズには、時代が変わってもあの日、川に飛び込み亡くなった人の記憶を消してはならないという思いを込めた。
人の命と花は似ていると思う。…