「病室でみんなの顔を見ると元気になる」という舟木あみさん(前列中央)の希望で撮影された集合写真。古賀竟成館から最終的に九州国際大付に託された=遺族提供
(7日、高校野球 盛岡大付8―6九州国際大付)
福岡代表、九州国際大付のベンチには1枚の写真があった。古賀竟成(きょうせい)館(福岡県古賀市)のチーム写真。前列中央にいるのは、マネジャー舟木あみさん。小児がんとの闘病の末、5月に17歳で亡くなった。「甲子園のベンチでスコアをつけたい」。舟木さんの夢を知った多くのチームが写真をつないで、たどり着いた。
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女子マネ急逝、「甲子園へ」思い胸に 福岡・古賀竟成館
舟木さんは、病室でプロ野球中継を見ながら、亡くなる直前までスコアをつけていたという。彼女の思いをかなえようと、チームメートは写真をベンチに飾って福岡大会に臨んだが、初戦で敗れた。
負けたけれど舟木さんの思いは甲子園に届けたい、と願ったチームメートが対戦相手に写真を託した。写真はリレーのバトンのように次の勝者へと渡り、福岡大会の頂点に立った九州国際大付へと受け継がれた。
甲子園初戦の前夜。主将の永岡大昇(ひろのり)君(3年)が「自分たちは敗れた学校の思いを甲子園に届ける使命がある」と、写真を甲子園のベンチに持ち込むことを決めた。
盛岡大付との試合はシーソーゲームの末、6対8で敗れたが、この試合を自宅のテレビで見守った古賀竟成館の主将の緒方海人君(3年)は「甲子園に舟木を連れていってくれて、ありがとう」と感謝した。
永岡君は「もう少し甲子園で戦えたら」と肩を落とした。福岡の球児たちの思いと甲子園の思い出が詰まった写真は持って帰り、古賀竟成館側に返すつもりだ。(井石栄司)