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けがで諦めたフィギュア、夢を球児に託した女子マネ

作者:佚名  来源:asahi.com   更新:2018-3-31 16:02:03  点击:  切换到繁體中文

 

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彦根東戦でアルプス席から応援した花巻東のマネジャーの佐々木杏さん(右)と尾曲花音さん(右から2人目)=2018年3月31日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場


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第90回記念選抜高校野球大会第9日の31日、花巻東(岩手)が彦根東(滋賀)を破り、8強入りした。花巻東のマネジャー佐々木杏さん(3年)と尾曲(おまがり)花音(かのん)さん(同)がアルプス席で声を張り上げていた。


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佐々木さんは中学2年まで、フィギュアスケート選手になることを夢見ていた。2006年のトリノ冬季五輪で金メダルに輝いた荒川静香選手の演技に魅了され、リンクに通い始めた。初めの4年間は基礎練習ばかり。それでも、滑るだけで楽しかった。「スケートで生きていけたらな、って思っていた」


だが、小学6年の冬、回転の練習中に着氷に失敗して背中から転倒。腰を強打した。痛みは一時的に引いたが、1年後、椎間板(ついかんばん)ヘルニアと診断された。腰の関節障害も見つかり、医師に「やめたほうがいい」と諭された。目標を失い、目の前が真っ暗になった。


中学3年の春、気分転換で花巻東の野球の試合を見た。久々に心が躍った。ベンチもスタンドも声を張り上げ、選手たちは攻守交代時も全力疾走。一投一打に全員が集中する姿に胸を打たれた。「フィギュアをやっていた自分と同じだ」。けがをする前は氷上を滑るだけで楽しかった。できない技があれば何度転んでもやり直した。競技と真剣に向き合っていた自分を思い出した。この野球部に夢を託したい――。


花巻東では、佐々木洋監督(42)にも母親にも「きついから」と反対されたが、気持ちは揺らがなかった。フィギュアで培った負けん気で説得した。


昨秋の東北大会準優勝後、選手から「何か気づいたことがあったら言って欲しい」と頼まれ、「用具の扱いやゴミ拾いに気の緩みが出ていないか。あいさつや話す態度におごりがないか」と伝えた。さりげない言葉でもチームを支える。「佐々木さんは選手のちょっとした変化で落ち込んでるのがわかるんです」と尾曲さんは話す。


「苦しい2年間だった分、結束力も強い。最後まで、みんなで駆け抜けたい」。勝利の瞬間、佐々木さんはうれしさで涙を流した。(加茂謙吾、阿部健祐)




 

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