「未来、いけー」と3位決定戦で声援を送る母ちず子さん(左)=ブラジル・リオデジャネイロ、山本亮介撮影
(9日、柔道女子63キロ級3位決定戦)
リオオリンピック
柔道の日程・記録
3位決定戦で敗れた柔道女子63キロ級の田代未来(みく、22)は、リオまで駆けつけてくれた応援団にいったん下げた頭をなかなか上げられなかった。スタンドの母も、娘の前では見せたことのなかった涙を止められなかった。
中学から親元を離れ、柔道に打ち込んだ。国内の大会では敵なしだったが、高2のときに左ひざの靱帯(じんたい)を断裂。その後半月板も痛めた。1年以上、稽古ができなかった。治療薬の影響か、髪が抜けた。母ちず子さん(49)はこのころのわが子の姿が忘れられない。
娘と待ち合わせた駅の改札口。田代は一人うつむいていた。田代が弱音をはくことは一切なかったが、ちず子さんはわが子が苦しみのなかにいるのがわかった。田代から見えない場所まで引き返し、涙がひくのを待って改札を出た。「帽子を買いに行こうか」。声の震えが治まらなかった。
落ち込みがちな日々だからこそ…