商業施設が集中する一角にあるエラワン廟。参拝者の数はテロ事件前の水準に戻った=16日午後1時27分、バンコク、大野良祐撮影
タイの首都バンコク中心部にあるヒンドゥー教の「エラワン廟(びょう)」で強力な爆弾が爆発し、中国人観光客ら20人が死亡、日本人男性1人を含む130人が負傷する爆破テロ事件が起きてから17日で1年。中国籍ウイグル族の男2人が起訴されたが、裁判はまだ実質的な審理に入っておらず、事件の背景は依然、不明だ。
タイ検察は昨年11月にビラル・ムハンマド(別名アデム・カラダック)被告(31)とユスフ・ミーライリー被告(27)を計画殺人罪などで軍事裁判所に起訴した。今年2月の初公判で2人は、捜査段階の供述を翻して罪状をすべて否認。ビラル被告は取り調べ中に拷問を受けて自白を強要されたと主張した。その後、検察と弁護人が証人尋問の進め方の協議を続け、罪状認否以降の進展はない。
2014年のクーデター後の国の最高機関、国家平和秩序評議会(NCPO)は「取り締まり強化で追い詰められた人身取引組織の犯行」との見方を一貫して示してきたが、実行犯としてウイグル族が浮上したことから、テロ事件前の昨年7月にNCPOがウイグル族の不法入国者109人を中国に強制送還したことへの報復との見方も消えていない。
警察は2被告以外に15人の逮…