開幕戦を控え、ルジニキ競技場ではマンホールのふたを開け、不審物のチェックをしていた=2018年6月13日、モスクワ、中川仁樹撮影
サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会が14日(日本時間15日午前0時)、開幕する。威信をかけた大会の成功に向け、ロシアは治安対策に神経をとがらせる。車両の通行や瓶入りの酒の販売を規制。ガスの供給が止まりそうになる一幕もあった。
【特集】2018ワールドカップ
2018ワールドカップの日程
大統領令などで開催都市に特別な対策を導入。開幕戦が開かれるモスクワのルジニキ競技場では13日、半径2キロ以内への車両の進入規制が始まった。試合の前日と当日が対象で、許可証がないと入れない。住人のイワン・ペレビンさん(29)は今朝も生後2カ月の娘を病院に連れて行った。「いつもスムーズに通行できるのか」と心配する。
テロを警戒し、バスやトラックなどの大型車両は、路線バスなどを除いて許可がないと開催都市にも入れない。爆発物や毒物を扱う企業は操業を制限する徹底ぶりだ。ホテルなどに泊まらないロシア人は、通常は外国人だけが対象の「滞在登録」の手続きを内務省でする必要があるという。
ロシアでは、瓶はけんかで定番の凶器。特に割れた瓶は花のような形から、「バラちゃん」と呼ばれているほどだ。会場周辺は瓶入りの酒などは販売禁止になる。
ただ、行き過ぎと思える規制も目立つ。
ロシアメディアが挙げた、開催都市の一つサマラでの禁止行為には「飲食店で缶詰肉を使うことが多い『海軍風パスタ』と缶詰の提供」「通りでの半裸」「バーベキュー」が含まれた。ロシア人でも首をかしげる規制だ。
モスクワのキエフ駅周辺では、路上で花や服を売る女性が警察に追い払われた。少し離れた路地に移ったアンナさん(75)は「あそこは人通りが多くて売れたのに」とこぼす。
ピリピリした雰囲気を反映してか、エカテリンブルクでは最近、管理会社が民家に、「W杯の安全対策で1カ月間、ガスの供給を停止する」と通告。大騒ぎとなって、後に撤回した。
一方、モスクワのタクシー運転…