菜月希ちゃんを抱く平野朋美さん。奥には2人の子どもの遺影が見える=17日、広島市安佐南区
77人が犠牲になった2014年8月の広島土砂災害から2年。子ども2人を失い、「あの日」の記憶にさいなまれ続けた家族にこの夏、新たな命が生まれた。心の傷も悔いも抱えたままだけど、我が子の記憶が残る、あの家に帰ろうと決めた。少しずつだけど、また歩み出そうと思っている。
息子失った父「まだ整理がつかない」 広島土砂災害2年
広島土砂災害2年、犠牲者77人を追悼 再発防止誓う
2014年8月20日未明、局地的豪雨により、広島市安佐南区と安佐北区で土石流やがけ崩れが発生。同市によると、災害関連死として認定された3人を含め、77人が犠牲となった。住宅被害は全壊179棟、半壊217棟など計4749棟。市が提供している公営住宅や民間賃貸住宅に暮らすのは、今月1日時点で36世帯となっている。
平野朋美さん(39)が夫の学さん(41)、3人の子どもと暮らしていた安佐南区山本8丁目の住宅では、土砂が壁を突き破った。1階にいた小学5年生の長男遥大(はると)君(当時11)と三男都翔(とわ)ちゃん(当時2)が生き埋めとなり、亡くなった。
朋美さんは半壊した自宅には戻らず、夫と次男(11)の3人で、仮住まいのマンションで暮らしてきた。昨年11月末までに、裏山ののり面がコンクリートで固められ、落石防止柵が設置された。自宅は修復工事中で、今年10月にも再入居する予定だ。
朋美さんは、この2年間の心情を語った。
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今も雨はこわいです。あの日途切れた2人との記憶は常にあります。守ってあげられなかった悔しさも、いないことの苦しさも。
2人と過ごした景色が残るあの家に戻りたい。でも、「帰りたくない」っていう次男の気持ちは何よりも大事にしていたので、ずっと悩み続けていました。雨が降るとこわがって泣き出す次男を守ってあげたいから。
あの家にある2人の服もおもちゃも食器も、まだ触れる自信がない。最後に2人がいたあの場所に入るにはまだ勇気がいるし、無理して前向きにはなれなかった。
それでも友人がプロ野球のカー…