秀岳館―北海 三回裏北海2死二、三塁、大西は右中間に2点適時三塁打を放つ=杉本康弘撮影
(20日、高校野球準決勝 北海4―3秀岳館)
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三回2死二、三塁、北海のエース大西が放った打球は右中間を割り、三塁打となった。
投手は救援でマウンドに上がったばかりの中井。秀岳館が初戦から徹底してきた継投策を、初めて打ち砕いた一打だった。
大西は「投手の代わりばなは、直球がどんどんくるはず。そう信じたところにそれがきた」。4球目、低めの直球に食らいついた。
続いた鈴木も持ち味の足を信じた。ぼてぼての三ゴロだったが、全力で駆けて頭から土煙を上げて滑り込む。内野安打となって大西が生還。序盤の3点先取は、秀岳館の強力打線のペースを乱すのに十分だった。
3人の左腕をはじめ投手も豊富な秀岳館。といって個別に対策を巡らすようなことはしなかった。全員がバットを短く持ち、あったのは「コンパクトに振る」という基本のみ。五回に左前安打で貴重な追加点をたたき出した小野は、中堅から逆方向へ飛ばすことだけを考えた。今までその打撃に打ち込んできたからだ。
37回目出場とまさに古豪の北海は、なかなか殻を破れなかった。4強入りは戦前に1度。戦後は23回出場のうち初戦敗退が16度あり、準々決勝を突破できないでいた。
初の決勝進出に大西は「信じられないというか、感想はいいにくいです。次もいつも通りやるだけ」と胸の高鳴りを隠せない。一方で鈴木がガツンといっている。「相手の投手じゃないんです。自分たちの野球ができるかどうかなんです」。それぞれが一念を抱き、大一番に臨む。(隈部康弘)