明徳義塾のボールボーイ細井優汰君=金居達朗撮影
(20日、高校野球準決勝 北海4―3秀岳館)
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■明徳義塾のボールボーイ・細井優汰君
誰よりも左腕を振った夏だった。
身長168センチ。球速は130キロに満たない。ただカーブ、スライダー、チェンジアップ……。多彩な変化球を投げられる。
だから、打撃投手で貢献した。準々決勝で対戦した鳴門。「どこかで当たるかも」と開幕戦で左腕河野投手を見ていた。対戦が決まると、深夜までビデオで分析。140キロ超の直球は投げられないから、練習ではマウンドから1~2メートル前へ。フォームをまね、得意球のツーシームも投げ込んだ。チームは河野投手を攻略。みんなからのお礼が何よりもうれしかった。
入学直後から球威不足に悩んだ。それでも「制球と変化球を磨けばベンチも近い」と馬淵監督に言われ、冬は1日200球以上を投げ込み、球種も増やした。だが、最後の夏もメンバーには入れず。落ち込んだが、打撃投手に立候補し、高知大会中は1日300球を7日間続けた。人さし指と中指には血豆ができ、針で血を抜きながらの連投。そのおかげか、チームは左腕を苦にせず優勝した。
すると、監督が言った。「甲子園に行くか」。例年はメンバー外の3年生は同行しない。全国でも必要と考えた監督の決断だった。
大会中はボールボーイで見守った。この日の試合後、選手たちに感謝の言葉をかけられ、涙をこらえた。「自分のために頑張った結果、チームの役に立てた。誇らしい気持ちです」(岩佐友)