国産初のジェット旅客機MRJを開発する三菱航空機は1日、米国で9日に予定していた試験施設の開所式を取りやめると発表した。機体の不具合のため米国行きが遅れ、原因究明などに時間がかかっているため。開所式では開発の順調さをアピールし、受注活動にも弾みをつけたい考えだったが、断念した。
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同社は、米ワシントン州のグラント郡国際空港で飛行試験を始め、開発を加速する方針。現地拠点の開設に合わせて式典を開き、招待する州知事や顧客の航空会社幹部らに、機体をお披露目する予定だった。
先月27日と28日にはMRJの試験機が愛知県営名古屋空港(同県豊山町)を離陸し米国へ出発したが、2回とも飛行中に空調システムに不具合が見つかり、引き返す事態になっていた。
三菱航空機は原因究明を急いでいるが、現時点では修理がいつごろ終わるかのめどは立っていない。米国行きの途中に立ち寄るロシアの領空通過許可の取り直しにも時間がかかるため、次の出発は9月下旬以降になる見通しだ。(細見るい)