時間外労働が「過労死ライン」を超える働き手はなお多い
残業時間の上限が事実上青天井になっている時間外労働規制の強化に向けた政府の議論が始まった。厚生労働省の検討会がまとめる論点を踏まえ、安倍政権が新たな目玉政策に据える「働き方改革」の一環として、上限規制の見直しが検討される見通しだ。
厚労省で9日開かれた有識者らによる検討会の初会合。会場には一般の傍聴者や報道陣らが詰めかけ、用意された傍聴席はほぼ埋まった。「働き過ぎ」による過労死や、男性の家事や育児への参加が進まないことが社会問題となるなか、長時間労働是正への関心の高さをうかがわせた。
いまの仕組みでは、労働基準法36条に基づいて、残業時間の上限は労使の合意による協定(36〈サブロク〉協定)で定めることができる。法定労働時間を超える残業には「1カ月45時間まで」という基準はあるが、行政指導の基準で法的な強制力はない。
さらに、仕事が忙しいといった…