クレーンでつり上げられるB6形SL=13日午後、名古屋市中区の市科学館、小川智撮影
名古屋市科学館(同市中区)が所蔵する蒸気機関車(SL)が13日、運び出された。約5カ月、7800万円をかけて、動く様子を見せる動態展示ができるか調べる。製造されたのは100年以上前だが、河村たかし市長は「あおなみ線を走らせたい」と語る。
「動くSL」展示できるかな 名古屋市科学館が解体調査
テツの広場
■SL修復は市長肝いり
B6形は、13日午後2時から大型クレーンでつり上げられ、約10分かけてトレーラーに積み込まれた。煙突など車両上部の部品は、運送中に高架などにぶつからないよう、前日に取り外し済み。市科学館屋外の展示場には愛好家や親子連れらがカメラを構え、しばしの別れを惜しんだ。
トレーラーは14日未明に出発。15日午前には、SLの復元を多数手がけるボイラー会社「サッパボイラ」(大阪市)に到着する予定だ。
B6形を分解し、保存状態の確認、ボイラーの密閉度などを約5カ月かけて調べる。石炭をたいて車輪を動かせる耐久性の有無を判断し、整備費用を見積もる。こうした調査の費用として、市は今年度予算に7800万円を計上した。
SLを名古屋で走らせる構想は、河村たかし名古屋市長の肝いりだ。河村市長はかつて、高い人気を当て込んで、世界のSLを集める「SL博物館」構想を打ち上げた。事実上立ち消えとなっているが、河村市長の思い入れは強い。「(名古屋駅と名古屋港を結ぶ)あおなみ線にSLを走らせる」と息巻く。
11日午前の市科学館。2014年から整備を続けてきたボランティアが、解体前最後の整備のために集まった。機関士の制服姿で現れた河村市長は「ドイツ製のB6形は世界に1個。側線を造ってあおなみ線をSLが走れば、どえりゃあかっこええ。日独友好のシンボルになる」と語った。
■製造は112年前、整備費は未知数
河村市長が「確実に動く」と断…