東京で長年、子どもたちに愛されてきた遊園地や乗り物が姿を消しつつある。上野公園にある「上野こども遊園地」が8月末に閉園。浅草の老舗遊園地・浅草花やしきのシンボル「Bee(ビー)タワー」は10月に取り壊される。「引退」をファンらが惜しんでいる。
浅草花やしき(東京都台東区)は浅草寺本堂の西300メートルほどにある。1853年に腕利きの造園師が手がけた花園として誕生し、明治初めに遊具施設が置かれた。戦争で一時閉園したが、戦後間もなく再開。約5700平方メートルにローラーコースターやメリーゴーラウンドなど20種類のアトラクションがひしめく。
Bee(ビー)タワーは高さ45メートル。1960年に「人工衛星塔」として建てられ、87年に花の間を行き交うハチをイメージした今の名前に変わった。
お菓子の家をかたどった7人乗りのゴンドラ6基が地上45メートルの高さまでつり上げられ、数分かけてゆっくり回旋する。浅草のまちが一望できるアトラクションとして親しまれ、「花やしき」の赤い文字が入った塔は名物にもなっていた。
設置から50年以上経ち、昨年10月に点検整備で運転を休止。敷地利用の見直しなどのため「引退」が決まった。同園のフェイスブックには「寂しくなる」「子どものころ、タワーを目指して花やしきに行った」「お疲れさまと言ってあげたい」などと惜しむ声が寄せられている。同園の担当者は「園が変化していくための引退と考えて見守っていただければ」と話す。
夕方から午後6時までのライトアップは、26日が最終日。10月3日から解体が始まる予定だ。(芳垣文子)
■上野こども遊園地 「平和のシンボルだった」
「子どもは遠くからでもここを目がけて走ってきちゃう。それほど好きだったのに」。上野こども遊園地(台東区)の動かなくなった乗り物のそばで、区内に住む3歳と2歳の男児の母、手塚春菜さん(32)は残念がった。
遊園地によると、「子どもたちに夢を」と終戦後すぐの1946年、日比谷公園で開園したのが始まり。のちに上野動物園の正門前に移った。
樹木に囲まれた約680平方メートルのこぢんまりした園内に、メリーゴーラウンドのような「夢のお馬車」や「空飛ぶぞうさん」など大型乗り物6台、ドラえもんやアンパンマンなどの小さな乗り物約40台があった。
入園は無料で、大型乗り物は1…