高市早苗総務相は27日の閣議後会見で、携帯大手3社に対して、格安SIM業者に回線を貸し出す際の「接続料」を引き下げるよう求める考えを明らかにした。具体的な水準は、11月上旬までに有識者会議で決める。格安SIM各社の料金をさらに下げ、大手を含めた料金全体の引き下げを促す狙いだ。
格安SIM業者は大手から回線を借り、利用者に小売りしている。広告や店舗網維持などのコストを削ることで低料金を実現しており、総務省によると、スマートフォンを使う人の平均利用料金(昨年12月時点)は大手3社の契約者が5407円、格安SIMは1946円だった。
格安SIM業者が大手に払う接続料は、回線の整備にかかった原価に利益を上乗せして大手側が決める。最も安いNTTドコモと最も高いソフトバンクでは約1・5倍の差がある。総務省は接続料の自由度を少なくし、水準も引き下げるよう求める。
また、大手で買った端末は現在、6カ月間は他社の回線を使えないが、有識者会議では格安SIMの利用者を増やすため、その期間を縮めることも検討する。高市早苗総務相は「大手と格安SIM業者の競争を促し、利用者が自由に選択できるようにする」とした。(上栗崇)
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〈格安SIM〉 電話番号や契約者のデータなどが記録されており、携帯電話に差し込んで使う「SIMカード」のうち、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社から回線を借りた事業者が販売しているもの。総務省によると、事業者は3月末時点で約550社という。