2014年度に富山市議会自民会派(当時28人)が政活費を請求した伝票、領収書などのコピー。情報公開請求で開示された(店名などにモザイクをかけています)
全国の道府県庁所在市と東京23区の計69議会を対象にした朝日新聞の調査では、政務活動費の領収書のインターネット公開が1割未満にとどまるなど、簡便な情報開示には消極的な議会の姿勢が判明した。政活費の「見える化」が進めば議員に緊張感をもたらすはずだが、依然として情報アクセスには壁が高い。
政活費領収書、ネット公開は1割未満 全国69市区議会
「まさかうちでもこんなに問題になると思わなかった。ネット公開を議論する優先順位は低かった」。問題発覚後、富山市議会の自民市議の一人は、そう振り返った。2014年に兵庫県議(当時)の政務活動費不正発覚を機に全国で問題化したにもかかわらず、議員11人が辞職に追い込まれるなど再び議会の信頼を揺るがす事態が起きている。
富山市議会では、政活費の領収書や収支報告を閲覧するためには、市の情報公開条例に基づいて市役所の窓口か郵送で公開請求書を提出する必要がある。
議会事務局によると、全議員の1年間分の資料はA4用紙5千枚程度。報道機関による情報公開請求に対し13、14年度分は閲覧まで1~2カ月ほどかかった例もあった。さらに今回の問題の対応に追われ、15年度分はその後の作業となって5カ月ほどかかるという。
同市議会では13年、各会派の市議でつくる「議会改革検討調査会」で、領収書のネット公開が検討項目に挙げられた。
だが、議論されないまま白紙や偽造の領収書などをもとにした不正取得が繰り返されていた。同市議会での不正は、領収書の万の位に数字を付け加えて政活費を水増し請求するなど明らかに不自然なケースもあった。市民の監視の目を議員が意識してこなかったことがうかがえる。実際、不正について「簡単だった。チェックもなかった」と話す市議もいた。不正発覚を受け、9月に「あり方検討会」を設置。ようやく重い腰を上げた。
富山、金沢両市議会では情報公…