阿蘇中岳の爆発的噴火で大豆畑に灰が降っていた=8日午前9時33分、熊本県阿蘇市、福岡亜純撮影
真っ黒な噴煙が上がり、噴石や灰が広範囲に降り注いだ。熊本県の阿蘇山で8日未明、36年ぶりに爆発的噴火が発生し、住民や観光客は不安の夜を過ごした。熊本地震から半年。復興に向かっていた矢先に被災地を襲った災害に、住民は肩を落とした。
阿蘇山、中岳第1火口で爆発的噴火 兵庫まで広く降灰か
降灰積もり停電も、市が11カ所に避難所 阿蘇山噴火
阿蘇山噴火、噴煙1.1万メートル 不安定な状態続く
一面に灰色 阿蘇山噴火、周辺市町村に大量の降灰
火口から数キロ北の熊本県阿蘇市一の宮町の宮地地区では、8日午前1時46分の噴火後、ゴーッと暴風が吹くような音が響いた。その数分後、市の防災無線から「噴火がありました。火口近くの人は避難してください」と放送が流れた。
午前2時前には、パラパラという音とともに小石のようなものが落ち始め、音は次第に激しい雨のように強くなった。灰が道などに薄く積もり、街中に硫黄の臭いが漂った。停電で街路灯も消え、周囲は真っ暗になった。
火口から8キロほど北にある阿蘇市役所の総務課職員によると、午前2時20分時点では市役所内も停電し、何も見えない状態だった。外は火山灰が降っており、稲光が見えたという。
市役所には住民が詰めかけ、駐車場や庁舎の玄関前に車を止めて避難していた。火口の北東約5・5キロの自宅にいた女性(69)も避難してきた。噴火時は揺れとともにカチカチと音がし、上空には真っ黒な噴煙が帯状に見えたという。親指の爪ぐらいの石がパラパラと落ちだし、毛布をかぶって車に飛び込んだ。「電気も消え、怖くなってとにかく早く山から遠ざかろうと思った」
■噴石で割れたガラス窓
噴石落下と降灰被害は中岳の北東側に集中した。
中岳火口から北東約4キロの阿蘇市一の宮町宮地にある研修宿泊施設「阿蘇青少年交流の家」では、網戸を突き破って落ちてきた噴石でガラス窓が割れた。噴火後に小さな石がたくさん落ちてきたため、職員が点検して見つけたという。熊本地震後の施設整備と安全点検のため、利用者の受け入れを10月末まで中止しており、けが人はいなかった。
山側に広がる放牧用の草原「牧…