水俣病被害者救済策の申請期限が過ぎた2012年8月以降に、潜在被害を調べる民間医師団の検診を受けた1500人余りに水俣病の典型症状が現れていた。水俣病の公式確認から今年で60年となったのを機に、九州の不知火(しらぬい)海周辺住民ら1万人分の検診記録を医師団と朝日新聞が共同で集計・分析し、明らかになった。
1500人余の受診者は水俣病の認定や救済策を受けていなかった。被害者を「あたう限りすべて救済」(水俣病被害者救済法)することを掲げた救済策の申請受け付けは10年5月から始まった。だが、症状が出ていながら情報不足や差別・偏見への恐れから申請できず、12年7月末の申請期限後も取り残された被害者がいる可能性が高い。
最高裁が国の水俣病認定基準より広く被害を認め、認定を求める人が急増した04年11月以降の1万人余の検診記録を医師団は分析。申請期限後の受診者1588人中1542人に両手足か全身の痛覚や触覚が鈍くなる感覚障害を確認した。
また、比較のために平均年齢を…