献花する後藤舜吉チッソ社長=2018年5月1日午後2時、熊本県水俣市、長沢幹城撮影
水俣病の原因企業チッソの後藤舜吉社長(83)が、1日の水俣病犠牲者慰霊式後に行った「救済は終わっている」との発言を撤回した。患者団体などでつくる水俣病被害者・支援者連絡会が発言撤回と辞任を求めていたことに対し、18日、社長名の文書で回答した。
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熊本県水俣市のチッソ水俣本部で、連絡会の坂本龍虹副代表らに対し、水俣本部の新井次郎・事務部長が文書を読み上げた。
文書では、おわびに触れたうえで、発言について、水俣病被害者救済法(特措法)に基づく救済措置対象者の判定が終了したとの環境省の発表があったことなどをもって、「一定の区切りがついていることを申し上げた」と説明。
また、「言葉足らずによりこのような事態となりましたことを深く反省」するとし、「『救済の終了』を始めとする皆様に不安と不快の念を与えてしまいました発言を撤回いたします」と明記した。辞任要求については、新井氏が「社長は責任を全うするために続ける」と応じない方針を口頭で伝えた。
後藤氏は慰霊式後の記者団との質疑の中で、特措法に盛り込まれた事業子会社JNC株の売却要件の一つである「救済の終了」をめぐり、「異論はあるかもしれないが、私としては救済は終わっている」と語っていた。(奥正光)