運営権売却の手続きが本格化した神戸空港=6日、神戸市中央区、朝日新聞社ヘリから、橋本弦撮影
赤字が続く神戸空港の民営化をめざす神戸市が11日、運営権の買い取りを希望する企業の受け付けを始めた。市は関西空港と大阪(伊丹)空港を運営する「関西エアポート」への売却を念頭に、「3空港一体運用」による立て直しを描くが、軌道に乗せるには厳しい発着規制の緩和など高いハードルがある。
特集:神戸空港
■神戸市「3空港一体運営」を念頭
市は11日、運営権売却の募集要項を公表した。最低価格は176億7千万円で、2018年度から59年度の42年間に運営企業が払う。内訳は前払い金を最低4億5千万円とし、その後、毎年、最低4億1千万円を市に払う条件だ。11月30日まで応募を受け付け、17年8月に優先交渉権者を決定。同年10月に実施契約を結ぶ。
神戸空港の建設には3千億円以上かかっており、民営化で回収できるお金はその一部だ。関空と伊丹の民営化では、運営会社である関西エアポートから事業費など2兆円超を44年かけて受け取る契約だが、それに比べると、神戸空港の最低価格は低い水準に抑えられている。現状では高い収益を見込めないからだ。
阪神・淡路大震災からの復興の切り札として06年に開港した神戸空港は、当初から利用者が伸び悩んだ。15年度の利用者数は約253万人と、開港当初を約20万人下回る。市が穴埋めしているが、実質的な赤字は7年連続。15年度は3億円の赤字だ。
9月にあった運営権売却についての企業説明会には26社が参加したが、市が念頭に置くのは、関西エアポートによる運営だ。オリックスや仏空港運営大手バンシ・エアポートなどが出資し、今年4月から関空と伊丹を運営している。久元喜造市長は9月、「関西エアポートと密接な関係にある企業や特定目的会社(SPC)などによる運営を考えていきたい」と明言した。
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