カーター米国防長官は23日、イラク北部のクルド人自治区アルビルを訪問した。カーター氏は過激派組織「イスラム国」(IS)のイラク最大拠点モスルの奪還作戦に加え、シリアの要衝であるラッカ攻略を同時に行う見方を示した。
ラッカは、ISが「首都」と称し、モスル以外では唯一支配する主要都市となっている。AFP通信によると、カーター氏は「できるだけ早く、ラッカを孤立させる作戦を見たい。そのために(シリアの)パートナーと連携している」とし、モスル奪還とラッカ攻略は「同時にやる作戦だ」と述べた。
モスル奪還作戦では、全方位を完全に包囲していないため、IS幹部や戦闘員らがシリア側に逃げることが予想される。シリアでは米軍が支援する反体制派やクルド系組織と、ロシア軍が支援するアサド政権軍が反目している。ラッカ攻略は、モスル奪還作戦よりも非常に複雑な形となる。
この日、カーター氏はクルド自治政府のバルザニ大統領と会談。カーター氏は、モスル奪還作戦に参加する治安部隊ペシュメルガを称賛し、「非常によく戦っている。激しく戦っているので犠牲も伴っている」と話した。(ワシントン=杉山正)