判決後に記者会見する原告団副団長の佐藤美広さん=26日午後、仙台市青葉区、福留庸友撮影
宮城県の石巻市立大川小学校をめぐる訴訟で、市と県に賠償を命じた判決の後、原告団の副団長を務める佐藤美広(みつひろ)さん(55)は、仙台地裁の門に向かって駆け出した。「勝訴 子供たちの声が届いた」と書かれた紙を堂々と掲げ、「この青空の下できっと判決を聞いていると思う」と語った。
大川小訴訟、14億円賠償命令 津波襲来「予見できた」
大川小学校津波訴訟
3年生の健太君は9歳の一人息子だった。震災が起きたとき、美広さんも妻のとも子さん(53)も、石巻市内で働いていた。2人とも学校から20キロほど離れていたが、「先生が付いているから大丈夫。山に逃げているはず」と考えた。
美広さんが山を越えて大川地区の自宅にたどりついたのは翌3月12日昼。このころ「大川小は孤立している」とラジオで聞いた。その後、「学校はだめだ」と近所の人から聞かされた。
13日早朝、学校のそばまで近づけた。周囲はがれきで埋まり、広場には幾人もの子どもの遺体があった。健太君はいなかった。
「健太を家に連れて帰る」。夫…