将棋の三浦弘行九段が対局中に将棋ソフトを不正利用したとされる疑惑に絡んで出場停止処分となった問題は、囲碁界にも衝撃を与えた。将棋のように一般に流通しているトッププロ級のソフトはまだ出ていないが、日本棋院は「いずれ出てくる」と対応策の検討を始めた。
25日、東京・市ケ谷の日本棋院で、団宏明理事長ら理事者側と東京棋士会長の武宮正樹九段ら棋士会側が、囲碁ソフトへの対応について意見交換した。棋士会からは「性善説に立って棋士をルールで縛るべきではない」「疑われることは慎むべきであり、それにならったルールを作るべき」など様々な意見が出たが、大淵盛人常務理事は「無視できない問題であり、早く手を打たなくてはいけないというのが常務会の一致した意見だ」と話す。
盤上に下す手の選択肢が将棋よりもケタ違いに多い囲碁は、1対1のボードゲームでコンピューターよりも人間が優位に立つ「最後の砦(とりで)」と言われてきた。しかし3月に「アルファ碁」が世界トップランクの韓国・李世●(●は「石」の下に「乙」、イセドル)九段を圧倒し、世界を驚かせた。(大出公二)