小森美登里さん。1998年、高1の長女がいじめを受けて自ら命を絶った。現在は、いじめ問題に取り組むNPO法人ジェントルハートプロジェクト理事として、各地で講演活動を続けている
いじめ問題の解決に取り組むNPO法人ジェントルハートプロジェクト理事の小森美登里さんに聞いた。
――この数年間のいじめを巡る状況をどう見ていますか。
講演で各地の学校を回っていると、SNSによっていじめが深刻化していると感じます。誰が自分を無視しているのかがすぐにわからず、いじめる側がどんな会話をしているのかと想像させられ、より心に深い傷を負うのです。
――いじめ防止対策推進法ができて3年になりますが、先生たちの対応は変わりましたか。
いじめの対応をめぐる先生たちの技能は向上していないように思います。多くの先生と話をしていてわかるのは、法律ができ、「早期発見」を心がけるようにはなってきましたが、発見したときの対応を学んでいないということです。
――具体的にはどういうことですか。
いじめの情報に接すると、素直に認めるはずがないのに、加害者にも被害者にもいきなり事実確認をしてしまう。加害者の子が仮にいじめを認めたとしても、「あの子だって」と言われれば、「あなたにも何か原因があるんじゃないの」と被害者の子に言う。ケンカ両成敗のような対応は大間違いです。その結果、「お前チクッただろ」と、いじめは水面下に潜って陰湿化してしまう。
――被害者に「いじめられているのか」と聞いた場合はどうですか。
被害者は「大丈夫です」と答えがちです。いじめられているとは認めないが、否定もしない。そうした反応を、対応の仕方がわからない先生は対応しない言い訳に使うことがある。でも、「大丈夫です」と言った瞬間が、死を覚悟した瞬間かもしれない。そんな想像をしながら、子どもたちに接しなければいけない。
加害者の子のうち7割が、自分…