オリックスから7巡目で指名されたホンダ鈴鹿の飯田大祐=京セラドーム大阪
■スコアの余白
ホンダ鈴鹿の捕手、飯田大祐が先月のドラフト会議で指名されたとき、彼を知る周りの人たち(高校の先輩にあたる私も含めて)は、胸をなで下ろした。「やっと指名された」と。
スコアの余白2016
本人は、プロ入りを半ば諦めていた。茨城・常総学院高から中央大に進み、4年のときにプロ志望届を出した。だが、声はかからなかった。社会人野球では、入社2年目から正捕手。それでも、やっぱりドラフトの場で、名前を呼ばれることはなかった。
「チャンスは終わったと思っていた」。それが入社4年目の今秋、オリックスから7巡目で指名された。チームを2大会ぶりに、都市対抗と日本選手権の両方に導いた功績が評価されたのかもしれない。その後、球団幹部から「社会人の捕手では、一番評価が高かった」と聞いた。
守備力全般が持ち味。「1回の守る時間は、3分間が理想」と教えられる常総で育っているから、守りのテンポがいい。強肩に加え、冷静な判断力もある。1日の日本選手権1回戦。2点リードの九回無死一、二塁で、相手の左打者が初球を見逃し、「犠打をしてこない」とみると、一塁手のポジションを下げた。
26歳という年齢は、指名選手87人の中で2番目の年長者だ。当然、即戦力として期待される。「与えられるチャンスは少ない。1年目から、がっつり行きたい」。1歳と3歳の長男長女を持つ一家の柱が、初めて暮らす関西にやって来る。(井上翔太)