試合後のセレモニーでうつむく楢崎(右)と闘莉王=吉本美奈子撮影
(3日、名古屋1―3湘南)
「絶対に先制する」。そのチームの意気込みとは裏腹に名古屋はあまりにも早い失点だった。前半6分、ゴール前で湘南の山田にフリーで左足を振り抜かせた。
自力で残留を決められない崖っぷちの状況が、選手の動きをこわばらせた。相手に激しく体を寄せられない。37分の2失点目も簡単に右クロスを上げさせたのが原因だった。攻めるしかない戦況になっても、連動する選手がおらず、前にボールを運べない。GK楢崎は「試合の進め方、サッカーの質とも相手を上回れなかった」と力なく言った。
後半開始早々、シモビッチのPKで1点差に。サポーターの大声援を受け、押せ押せムードになりかけたのに、10分後、再び突き放された。皮肉にも闘莉王の自陣でボールを奪われるミスがきっかけだった。残り15分でFW川又を投入。10分を切ると闘莉王を前線に上げてあがいたが、時間だけが過ぎていった。
最も苦しい時期に闘莉王は復帰し、そこから守備も戦績も持ち直した。その闘莉王でさえも、この日の「クラブ史上、最も重要な試合」(ジュロブスキー監督)では精彩を欠いた。「自分のサッカー人生の良い出来事を、残留と引き換えにしてもいいぐらいだ」。悔やんでも悔やみきれなかった。
主将の田口をはじめ、多くの選…