熊本城天守閣内部の崩れた石垣=熊本市の提供映像から
熊本地震で大きな被害を受けた熊本城の天守閣内部を撮影した映像を、熊本市が4日、初めて公開した。天守閣の下部の石垣が内部も激しく崩れている様子が明らかになった。
天守閣のVR動画
映像は約15分。熊本城調査研究センターの鶴嶋俊彦・文化財保護主幹(61)が地震から約5カ月後の9月21日、被災状況を記録するため、天守閣前の広場から内部に入り階段を上って最上階に至るまでを撮影した。
天守閣は1960年に復元された地下1階地上6階の鉄筋コンクリート造りで、城を築いた加藤清正などの資料が内部に展示されている。鶴嶋主幹によると、外からは見えなかった石垣の内側の崩れが特にひどく、足の踏み場に困るほどの「全壊状態」だったという。「予想以上。復旧工事が難しくなるのではと思った」と話す。
熊本市は熊本城を復興のシンボルとして、天守閣を3年で、石垣など全体を20年で復旧させる方針。鶴嶋主幹は「熊本城の復旧に多くの人が心配し、城への愛情を感じている。修復に向けて精いっぱいやろうと思っている」と話した。
市は熊本城復旧には630億円以上かかるとみている。(奥正光)