熊本の街並みのジオラマ越しに見ると、奥に熊本城が見える=熊本市現代美術館
特撮美術の技を駆使し、熊本城の天守閣や城下の街並みを再現したミニチュアセットが16日から、熊本市中央区の市現代美術館で披露される。本物の城は、昨年の地震からの復旧工事で見えにくくなっているため、熊本出身の特撮美術監督らが助力した。
展示されるのは、難攻不落の名城として知られる、熊本城の大小の天守閣と宇土櫓(やぐら)の約20分の1スケール(高さ最大約2メートル)、市電などが走る街並みを再現したジオラマ。街並み越しに城が見え、来場者は特撮映画のように撮影を楽しむこともできる。
制作を指揮するのは、映画「シン・ゴジラ」などの特撮美術を担当した三池敏夫さん(56)。被害の大きかった熊本県御船(みふね)町の出身だが、「地震発生の時、故郷を心配するだけで何もできなかった思いがずっとあった」。何か力になれないかと思っていた矢先、美術館から「在りし日の熊本城の姿を特撮美術で見せられないか」と打診された。
映画の特撮美術の場合、映像に映らない部分は省略する場合が多いが、今回はミニチュア自体が作品のため、制作図面を起こして精巧に再現。公式資料や写真、映像などを参考に細部まで忠実に作った。特に「武者返し」として知られる石垣の形や並べ方も実際のものと同じように表現。熊本や福岡からのボランティアも協力した。特撮美術の裏側がわかる、制作工程のメイキングも展示される。
熊本城は震災前、年間約178…