静岡県富士市の小長井義正市長は3日、記者会見を開き、市が関連する機関や施設でLGBT(性的少数者)に関する個人情報の漏洩(ろうえい)があったとして陳謝した。会見場では当事者の女性(39)が傍聴し、「説明が不十分」として市長らに再説明を求める場面もあった。
市によると、7~8月に市が委嘱する男女共同参画地区推進員が研修会の講師選定について話し合った際、候補に挙がったこの女性の同意を得ずに個人情報を漏らした。10月にも、市が外部に管理を委託している市民活動センターの職員が、報道機関の取材に対し同じ女性の個人情報を漏らした。小長井市長は「人権尊重の施策を進めているのに情報が漏れ、ご本人に深くおわびする。配慮すべき点を周知し、再発防止に努める」と述べた。
当事者の女性は会見後に報道陣の取材に応じた。講師の要請は「最初は仕事に関する話の依頼だったが、2回目の電話で(LGBTとして)『どう生きてきたか話してほしい』と変わった」という。女性はSNSでLGBTに触れたことがあるが、「仲間内での投稿で、一般公表しているわけではない」とし、「男性として生きたいと思っているのに、その生活が脅かされる」と憤りを語った。(六分一真史)