上告議案は起立採決がとられ、上告に賛成の市議が起立した=2018年5月8日午後、宮城県石巻市、福留庸友撮影
東日本大震災の津波で84人が犠牲となった宮城県石巻市立大川小学校の避難誘導などを巡り、原告遺族への損害賠償を市と県に命じた仙台高裁判決について、石巻市議会は8日の臨時議会で、最高裁への上告を承認する議案を賛成多数で可決した。
市とともに敗訴した県も上告の手続きに入る見通し。遺族側は裁判の終結を求めていた。
4月26日の高裁判決は、津波が十分に予見できたとして、具体的な対応を怠った学校や市教育委員会の過失を認定。校長らが組織的な「事前防災」に取り組んでいれば被害を回避できたと結論づけた。その上で、震災当日の避難誘導にのみ過失があったとした地裁判決を変更し、約1千万円増額した約14億4千万円の賠償を市と県に命じた。
亀山紘・石巻市長は7日に上告の意向を示した際、「想定できなかった大災害。校長らが専門家並みの知識を有する必要があるという判断も、学校教育に求めるのは非常に無理がある」と説明していた。
市議会は、2016年10月の一審判決後、控訴する議案について臨時議会で採決。過半数の16人が賛成し、可決した経緯がある。