韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は7日、韓光玉(ハングァンオク)大統領秘書室長を通じて、与野党党首との会談を提案した。朴氏が指名した新首相の人事案など、今後の政権運営について直接説明する考えだったが、野党3党は人事案を撤回しなければ会談には応じないなどとして拒否した。
朴氏は新首相に盧武鉉(ノムヒョン)政権時代に副首相を務めた金秉準(キムビョンジュン)氏を指名。野党系の人物の起用で協力を得る考えだったが、野党側は事前に相談がなかったと反発し、撤回を求めていた。韓氏は各党を訪ね、朴氏と与野党党首の会談を要請したが、野党3党はいずれも拒否した。
新首相が就任するには国会の同意が必要だが、野党が過半数を握っており、野党の理解がなければ国政の正常化は望めない。12日にも大規模な抗議集会が予定されるなか、大統領府関係者は「なんとか今週中に与野党と対話をしたい」としており、朴氏が野党側の要求をどこまで受け入れるかが焦点になる。
一方、与党セヌリ党で朴氏と距離を置く「非朴系」の金武星(キムムソン)前代表は7日、首相人事案の撤回と朴氏の離党を求めた。与党内では朴氏に近い「親朴系」が率いる党指導部と非朴系の対立も激しさを増しており、朴氏は与党の掌握さえままならない状態に陥っている。
検察当局は7日、朴氏の支援者、チェ・スンシル容疑者への機密文書提供に関わったとされる前大統領府付属秘書官、チョン・ホソン容疑者の携帯電話を押収したことを明らかにした。携帯電話にはチェ容疑者との通話を録音したファイルが残っているといい、分析を進めている。(ソウル=東岡徹)