生涯の伴侶を求めて結婚相談所の会員になった60代の男性は、一回り以上年下の女に好意を抱いた。ところが女は結婚詐欺師。好意を逆手に3千万円近くをだまし取るが、いつしか女の心境に変化が生じ始めた。
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5月16日、千葉地裁八日市場支部で開かれた初公判。スーツ姿で法廷に現れた無職の女(52)は、茶髪に赤い縁のメガネをかけていた。だまし取ったとされる金額の一覧表を検察官から示され、じっと見つめた。
裁判官「間違いありませんか」
女「はい」
起訴状によると、無職女は、結婚相談所の経営者の女(52)=詐欺罪で懲役2年が確定=と共謀し、2013年11月から14年11月、会員の男性(66)から6回にわたり計約2900万円をだまし取ったとされる。
判決などをもとに、事件の経緯をたどる。
11年冬ごろ、女は結婚相談所の会員になった。当初はまじめで良い人がいたら結婚したいと思った、という。
13年10月6日の婚活パーティー。女は一人の男性に目をとめた。間もなく女は、結婚相談所の経営者の女とともに、この男性に現金を要求し始めた。
最初に金の話をしたのはパーティーから12日後の10月18日。男性と女が東京・品川のしゃぶしゃぶ店で食事をした際だった。