袋小学校と袋中学校の児童・生徒が水俣病の胎児性患者と「2001水俣ハイヤ」を踊った=7日、熊本県水俣市の袋小学校体育館
伝統文化を通じ、公式確認60年を迎えた水俣病を伝えたい――。東京の民族歌舞団「荒馬(あらうま)座」が、16年前に水俣病患者と作った民謡を熊本県水俣市の小中学生に披露している。市内6カ所で全11校を対象に14日まで行う。主催する胎児性患者らの支援施設は「子どもたちに患者の思いや古里への誇りを伝えたい」と願う。
♪よか水よか海よか魚(いお)よ よか海よか山よかお人 ハー ヨイサー ヨイサー
7日、水俣市の袋小学校の体育館。威勢の良いかけ声と水俣の漁の風景を織り込んだ「2001水俣ハイヤ」の歌に合わせ、帆を上げたり網を引いたりする踊りを荒馬座が披露。袋小と袋中の児童・生徒300人近くと胎児性患者らが輪になり、一緒に踊った。
6年生の金田一陽音(はるね)さん(12)は「水俣病を昔話みたいに思っている人がいるかもしれないけれど、今も頑張って乗り越えていると伝えていきたい」。車イスで参加した胎児性患者の加賀田清子さん(61)は「楽しかった。子どもたちに水俣ハイヤをずっと続けてほしい」と、笑顔を見せた。
歌と踊りは熊本民謡の「牛深(うしぶか)ハイヤ節」をベースに、患者で水俣病資料館の語り部だった故・杉本栄子さん(2008年に69歳で死去)と荒馬座の宮河伸行さん(45)=熊本県氷川町出身=らが一緒に作った。
宮河さんが杉本さんに相談して…