免許証を返納し、「運転経歴証明書」の記念のレプリカを受け取る他阿真円上人=神奈川県藤沢市
高齢ドライバーによる交通事故が相次ぐなか、神奈川県藤沢市にある時宗総本山・清浄光寺(遊行寺)の他阿真円(たあしんえん)上人(97)が15日、県警藤沢署を訪れ、運転免許証を自主返納した。
他阿上人は1919(大正8)年生まれで、時宗の開祖・一遍上人から数えて74代目の法主(ほっす)。90歳を超えてからは運転をやめたが、「100歳までは免許を持っていたい」と思っていた。だが、10月に横浜市内で80代が運転するトラックが児童の列に突っ込み、1人が亡くなる事故が起き、返納を決めたという。
この日、藤沢署で加藤秀雄署長に免許証を返納した上人は記念として、免許失効を示す「運転経歴証明書」の大型レプリカを笑顔で受け取った。署員や地元の防犯団体の約40人を前に「75歳を超えれば、いつどうなるかわからない。免許があれば、どうしても乗りたくなる」と語った。
警察庁によると、全国で約1700万人いる65歳以上の免許保有者のうち、昨年の返納者は約27万人。昨年は75歳以上の約163万人が免許更新時に認知機能検査を受け、約5万4千人が「記憶力、判断力が低い」と判断された。
改正道路交通法が施行される来年3月からは、記憶力・判断力に乏しいとされた75歳以上の人は、医師の診断を受けるよう義務づけられる。(小北清人)