ソン・ガンホ
人気、実力ともに韓国トップ俳優のソン・ガンホが10年ぶりに来日した。主演映画「弁護人」の日本公開に合わせて東京都内で会見を開き、「韓国情勢が混乱している今だからこそ、たくさんのことを提示してくれる非常に意味のある作品」と語った。
故盧武鉉(ノムヒョン)元大統領の弁護士時代を描いた「弁護人」は、韓国で2013年に公開され、1100万人の観客を動員した大ヒット作だが、日本では3年越しの公開となった。日本公開日の12日はソウルで朴槿恵大統領の辞任を求める大規模集会が開かれ、図らずもタイムリーな映画となった。
出演のオファーを受けた時は「とても怖かった」と言う。「残念な形でお亡くなりになった盧武鉉大統領を慕う方々、家族の皆さんもいらっしゃる中で、果たして私がその方の人生の一部をきちんと表現できるだろうかという怖さ。たくさん悩みましたが、未熟なりに真心を込めて演じれば、観客の皆さんにも伝わるのではないかと思い、勇気を出して演じました」
軍事政権下の1980年代、実際に起きた冤罪(えんざい)事件「釜林(プリム)事件」を描く。国家保安法違反などの疑いで多くの学生が不当に逮捕され、拷問を受けた事件で、盧武鉉大統領が人権派弁護士として転身するきっかけとなった。理不尽な裁判に立ち向かうソンの演技が圧巻だ。「一人で公判のシーンを練習しながら、どう演じたらいいのか何日も考えました。あのシーンにおける演技というのは、テクニカルな要素ではなかったと思う。軍事政権下を生き抜いた盧武鉉大統領をはじめ多くの韓国の皆さんの民主主義への熱望が込められていた。せりふは実際に語られた言葉も多く、ソン・ガンホという役者の気持ちと折り重なるような形で熱い思いが自然とあらわれたシーン」
会見に同席したチェ・ジェウォ…