アサヒグループHDが買収した欧州メーカーのビール=東京都千代田区
アサヒグループホールディングス(HD)は24日、主力ブランド「スーパードライ」の欧州への販売を強化する方針を公表した。2018年にも買収した現地メーカーでの生産を始める。ビール各社は海外進出を一段と加速するが、手探りの状態が続いている。
アサヒは10月中旬、ベルギーのビール大手アンハイザー・ブッシュ(AB)インベブから、伊ペローニやオランダのグロールシュなど欧州のビール企業4社を買収。ロングセラーの高価格ビールや製法にこだわるクラフトビールなどがつくれる五つの工場と60カ国への販売網を手に入れた。
アサヒは24日開いた欧州の事業説明会で、英国で委託生産するスーパードライを、買収した工場を使った自前での生産に切り替える計画を発表。スーパードライは現在、英国中心に扱うが、小路明善社長は販売地域を広げる考えを示し、欧州の売上高を「早期に2倍にしたい」と説明した。
アサヒの15年12月期の海外売上高は約13%。国内市場は縮小傾向にあり、小路社長は「海外を今後の成長エンジンにする」と話し、海外売上高比率を早いうちに2~3割に引き上げる方針だ。買収なども検討する。
ほかのビール大手は、試行錯誤しながら海外展開を進めている。
キリンHDは09年に豪州、11年にブラジルのビール大手をそれぞれ3千億円規模を投じて買収し、15年には経済成長が見込まれるミャンマーの最大手を買収。先進国のクラフトビール人気に着目し、今年10月には米国のビール会社に出資した。だが一方で、ブラジル事業は景気低迷で販売が落ち込み、通貨安もあって巨額損失を計上。今年10月に一部工場を売却し、生産体制を見直した。
サントリーHDはビールではなく蒸留酒事業に注力し、14年に米蒸留酒大手ビーム(現ビームサントリー)を1兆6500億円で買収。しかし、今年10月の労働環境をめぐる一部工場のストライキなど、不測の事態も起きている。
10月には、ビール世界首位の…