朴寛用・元韓国国会議長
韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の辞意表明をどう見ればよいのか。韓国の朴寛用(パククァンヨン)・元国会議長に聞いた。
特集:朴大統領、事実上の退陣表明
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最大の責任は朴槿恵(パククネ)大統領にあるが、辞任すれば60日以内に選挙が行われる。各党の候補がそろわず、現状では難しい。4月までの任期にすれば、弾劾(だんがい)も行われず、静かに国政が安定化すると思う。
27日に他の首相・議長経験者らとそのような趣旨で朴氏に呼びかけた。野党とは接触できたが、大統領とは対話できなかった。交渉できる雰囲気がなかった。
法的な解決も可能だが、政治は妥協の芸術だ。秩序と名誉を守った退陣が最も好ましい。この間、野党は次期大統領選を巡る思惑や利害が異なり、相互信頼もなく、解決が遅れた。朴大統領も4月総選挙の党内公認手続きで、自分の言うことを聞く人間ばかり選んだ。それが与党内の反発を招いた。
大統領の性格が最も問題だった。若い頃に両親を亡くし、側近に裏切られ、人を信じられなかった。そばに置いたのがチェ・スンシル被告だったとは悲劇以外の何物でもない。
韓国の非常に強力な大統領制度も、大統領の専横を許す結果になった。今回の抗議集会は非常に平和的で、国民の民主主義意識が相当成熟したと感じた。こうした状況に合わせた憲法改正が必要だと思う。権力を分散させるべきだ。(聞き手・牧野愛博)