大事故を起こしたチェルノブイリ原発4号炉と石棺を保護する新しいかまぼこ形のシェルター=29日、ウクライナ北部チェルノブイリ、松尾一郎撮影
ウクライナ北部のチェルノブイリ原発で29日、1986年に重大事故を起こした4号炉をすっぽり覆う新たなシェルターを移動させる作業が終わり、事故後30年余りを経て、安全対策がほぼ完成した。ただ密封された事故炉の完全解体は危険を伴い、困難な状況だ。
シェルターは、事故後に4号炉を覆い、老朽化した「石棺」の上をさらに覆う金属構造物。長さ162メートル、高さ108メートルで、アーチ間の幅257メートル、重さ3万6千トンある。近くで組み立てられ、今月14日から372メートルの距離を移動させてきた。現地で開かれた記念式典には、ポロシェンコ大統領らが出席した。
ポロシェンコ氏は「ちょうど30年前に(事故後)260日で石棺を造り、世界を核の汚染から守った。今日、(新たな覆いの完成で)100年間の核の安全を保証した」と演説した。
事故当時に国際原子力機関(IAEA)事務局長を務めたハンス・ブリクス氏は朝日新聞の取材に、「86年の『傷』をようやく癒やすことができる」と感慨深げに述べた。出席した角茂樹駐ウクライナ大使は、主要7カ国(G7)を代表して、「ウクライナ政府によって施設が効果的に運営されていくと信頼している」とあいさつした。
一連の計画に21億ユーロ(約…