生まれたばかりの乳児が脳性まひになったのは、医師らの過失だったとして、両親らが高知赤十字病院(高知市)を運営する日本赤十字社に介護費用など約2億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が9日、高知地裁であった。石丸将利裁判長は「帝王切開などに着手していれば、障害を負わなかったと推認できる」とし、約1億8千万円の支払いを命じた。
判決によると、母親は数年前、高知赤十字病院の分娩(ぶんべん)室に入室。その際、担当医は胎児の心拍数などから低酸素状態が悪化していることを認識できたが、帝王切開などは検討せず、そのまま陣痛促進薬による分娩を続けた。判決は「出産時の過失が原因で生じた後遺障害であることから、母親の精神的苦痛は特に強い」と指摘した。
判決を受け、両親は弁護士を通じ、「親の責任を少しは果たすことができた。二度とこのような医療過誤が起きないようにしていただきたい」とコメント。高知赤十字病院は「原告側のプライバシーがあるので、コメントは差し控える。控訴するかは未定」としている。