子どもたちの遺影を掲げ仙台高裁に入る遺族たち=2018年4月26日午後0時46分、仙台市青葉区、福留庸友撮影
東日本大震災の津波で児童と教職員計84人が犠牲となった宮城県石巻市立大川小学校の避難誘導をめぐり、児童23人の遺族が市と県に計23億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、仙台高裁であった。小川浩裁判長は、市と県に計14億円の賠償を命じた一審・仙台地裁判決を一部変更し、学校や市教育委員会の過失を認めたうえで、改めて賠償を命じた。
控訴審では、震災当日の教員らの避難誘導に加え、震災前の学校の防災体制や市側の指導のあり方も争点になっていた。
一審判決によると、大川小は市のハザードマップでは津波の浸水想定区域外とされ、学校のマニュアルでも津波を想定した避難行動や避難先を盛り込んでいなかった。震災当日、児童らは教員の指示で地震から約50分間、校庭で待機。堤防近くの小高い場所へ避難しようとして、川をさかのぼって堤防を越えた津波に襲われた。
一審判決は、事前の防災体制について市側の過失を認めなかったが、津波到達の7分前までに教員は予見でき、歩いて2分ほどの裏山に避難させるべきだったとして、教員らの過失を認定。14億円の賠償を命じ、双方が控訴していた。
遺族側は控訴審で、「平時から津波の危険を予測してマニュアルを見直すなどの当然の義務を怠り、組織的過失があった」と主張。市側は「津波は予見できず、マニュアルの不備もなかった」と反論していた。