国連安全保障理事会で議論されている南スーダンへの武器禁輸を含む制裁決議案に対し、日本政府が慎重な姿勢を示している。国連平和維持活動(PKO)に自衛隊を派遣するなか、政府と反政府軍の武器のバランスが崩れ、治安の悪化を招きかねないと懸念するからだ。米国のパワー国連大使は「非常に疑わしい」考え方として、日本を批判した。
制裁決議案について、稲田朋美防衛相は20日の記者会見で、「南スーダンの平和と安定にとって何が適当か。すなわち自衛隊が安全を確保して有意義な活動ができるにはどうすれば一番適当かという観点から検討すべきだ」と話した。また、外務省幹部はPKOに携わる4千人規模の部隊の受け入れを11月下旬に決めた南スーダン政府に対する配慮の必要性を指摘。「南スーダン政府の和平への努力は評価されるべきで、このタイミングでの制裁は態度を硬化させてしまう」と話す。
これに対して、パワー氏は現地時間19日、ニューヨークの国連本部で記者団に、「武器禁輸は南スーダンの人々だけではなく、PKOの隊員を守る手段でもある。隊員の安全を守る方法が、武器禁輸を支持しないことというロジック(理屈)は非常に疑わしい」と述べた。