新年を前に木山神宮に訪れ、短冊を奉納する家族=31日午後6時40分、熊本県益城町、福岡亜純撮影
熊本地震で被災した熊本県益城(ましき)町の木山神宮では31日、倒壊したままの神殿の前に竹灯籠(とうろう)で「希望」の文字がともされた。被災者が訪れ、新年の願いや決意を書いた短冊を捧げた。
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木山神宮は鳥居、楼門、神殿、社務所がすべて倒壊したまま。周囲の家々も多くが全半壊し、辺りは夜になると人気がなくなる。だが、31日夜は少しずつ人が訪れた。2人の孫娘を連れて参拝に訪れた山本かつ子さん(56)は短冊に「みんな心と体を大切にしましょう」と書いた。自宅は全壊し、家族で営む和食店は損壊。無事だった物置で生活している。「普段通り過ごしているようでもどこかイライラしている。新しい年は健康でありたい」
末社も含めて町民の半数近くが氏子にあたる神社は、多くの人の心のよりどころでもある。町内のアパートで暮らす宮司の矢田吉定さん(66)の元へは、仮設住宅に住む人らから「新年のお参りはできますか」と問い合わせが相次いだ。
地元の人たちは約340本の竹や紙の灯籠を作り、「おだやかな年に」「笑顔を忘れず」などの言葉が書き込まれた。冨田信子さん(65)は、半年前から夫と2人で仮設住宅に住む。「新年は明るく前に進みたい」と話した。