自民党の二階俊博幹事長
2017年最初の与野党メッセージは個性豊かに――。1日付で自民党、日本維新の会、社民党の各党幹部が新年の所感を発表した。「防災・減災」への決意や「大阪万博」への思い、昨年夏の参院選敗北の「おわび」など、それぞれの事情が色濃く反映される内容になった。
■自民・二階氏「防災・減災に取り組む」
「私たち連立与党は、参院において戦後最も安定した政治基盤を獲得いたしました」。自民の二階俊博幹事長は所感の冒頭、こう切り出した。ただ、「謙虚な姿勢で政権運営を進めてまいります」とも強調した。参院選後の臨時国会では、自民は重要法案をめぐる国会運営で「採決強行」と批判された。
二階氏はまた、東日本大震災や昨年の熊本地震からの復興を加速させるとアピール。「強くしなやかな国民生活を実現するため、防災・減災に積極的に取り組んでまいります」と続けた。二階氏といえば、「国土強靱(きょうじん)化」の旗振り役。公共事業に熱心な二階氏らしい書きぶりとなった。
一方、政権と沖縄とのパイプ役を果たす二階氏だが、沖縄への言及はなかった。14年の所感では当時の石破茂幹事長が「一日も早く基地の危険性を除去するため、全力で取り組む」と触れていた。また二階氏の前任の谷垣禎一氏が幹事長時代の15、16両年に触れた安全保障関連法についての記述もなかった。
■維新・松井氏は民進批判?
維新の松井一郎代表は「2025年の万博開催に向けて大阪が頑張る」として、「これからの日本を引っ張ります」と表明。「政権与党に対し是々非々で臨んでいきます」と党の姿勢を説明し、安倍政権との近さをにじませた。
また、「議場はプラカードを掲げる場でも暴力を振るう場所でもありません」と指摘。松井氏が日ごろから強く批判している民進党を重ね合わせるかような書きぶりになった。
■社民・吉田党首はおわび
「率直にお詫びします」と新年のメッセージを切り出したのは、社民の吉田忠智党首だ。野党は昨年の参院選で、いわゆる改憲勢力に3分の2以上の議席を許した。社民はさらに吉田氏自身が落選し、改選2議席を維持できなかった。
ただ、安倍政権との対決については鼻息が荒い。「多くの国民の声に背いたアベ政治に怒りの『矢』を放ちましょう」と呼びかけ、「野党共闘の『要石』となって市民の皆さんとの共闘をさらに強める」とアピールした。(安倍龍太郎)