東京弁護士会は6日、国選弁護人として担当した被告の承諾を得ずに、検察側が出した証拠の取り調べに同意したとして、同会所属の小林永和(ひさと)弁護士(80)を業務停止2カ月の懲戒処分にしたと発表した。処分は昨年12月27日付。
小林弁護士は元検事で、札幌地検検事正などを歴任。東京弁護士会によると、小林弁護士は2014~15年、覚醒剤取締法違反の罪に問われた男性被告の控訴審で弁護を担当した。被告と十分な打ち合わせをせず、公判で検察官が出した警察官の調書などの証拠に同意したという。被告は一審で無罪判決を受けたが、二審では逆転有罪判決となり確定した。
小林弁護士は同会の調査に「不同意にしても、警察官が証人として法廷で同じことを言うので同意した」と説明しているという。同会は「不適切な弁護活動で有罪になったかは分からない」としているが、「弁護士の品位を失う非行」と判断した。