フランス料理の乾杯に使われた発泡する日本酒「水芭蕉ピュア」。グラス内に泡の粒がたった=静岡県沼津市、永井酒造提供
お酒で乾杯する場面が増える季節、最初の一杯は日本酒で――。各地の蔵元が結束し、「awa(アワ)酒(さけ)」の開発と普及に取り組んでいる。シャンパンのように泡がたち、濁り酒と違って透明感がある日本酒。今春には認定制度を始め、業界の活性化を狙う。
静岡県沼津市のフランス料理店「ヌーヴォサンス」は昨年11月、発泡性の日本酒「水芭蕉(みずばしょう)ピュア」をメニューに加えた。昨年12月の店の催しでも乾杯酒に。細かな泡がたつ透明な日本酒をシャンパングラスに注ぎ、約40人が味わった。
群馬県川場村の永井酒造が2008年に発売した。6代目の永井則吉さん(44)が5年がかりで開発した。世界的な高級スパークリングワインに肩を並べる日本酒ができれば、新たな市場が開けると考えた。
作り方はシャンパンと同様だ。発酵途中のにごりを残した状態で瓶に詰める。瓶内で発酵が続く(2次発酵)ため、炭酸ガスが閉じ込められる。
詰める際に発酵が進みすぎていると炭酸が弱く、逆だと内圧で瓶が壊れる危険がある。「バランスが難しい」と永井さん。澱(おり)を除いて透明にする技術開発にも腐心した。
700回の失敗を経て完成。ニ…