朴佳菜子さん
東京都文京区の自宅で妻を殺害したとして、講談社の編集次長の夫が逮捕された事件で、夫が「妻が自殺に使った」と説明していたジャケットから、自殺した痕跡が確認されなかったことが捜査関係者への取材で分かった。妻が事件があった日の3日後に知人と会う約束をしていたことも判明。警視庁は、夫が妻を殺害後、自殺を装ったとみて調べている。
夫は、同社のコミック誌「モーニング」編集次長の朴鐘顕容疑者(41)。昨年8月9日未明に妻の佳菜子さん(当時38)を殺害したとして、今月10日に逮捕された。逮捕後は容疑を否認し、現在は黙秘している。
朴容疑者は逮捕前の任意の調べに「妻は階段で(朴容疑者の)ジャケットで首をつって自殺した」と説明していた。だが、捜査1課がこのジャケットを調べたところ、佳菜子さんの皮膚片など自殺に使われたような痕跡は確認されなかった。一方、1階の寝室のマットレスから佳菜子さんの尿の成分や、血が混じった唾液(だえき)が検出されたという。
また、佳菜子さんは事件が起きる前の8月5日ごろ、知人女性と同12日に会う約束をしていたことも新たにわかった。女性は都合が悪くなり、同20日に改めて会う約束をしたという。この知人女性は「朴容疑者も子育てに熱心で、子どもたちも佳菜子さんも父親を尊敬しているようにみえた。佳菜子さんに自殺しそうな様子はなかった」と話した。