英国のメイ首相は17日昼(日本時間17日夜)、ロンドンで演説し、欧州連合(EU)との離脱交渉に際しての政府の基本方針を明らかにする。EU域内から流入する移民の規制実現を優先し、「人、モノ、サービス、資本」の域内の自由な行き来を認めるEUの「単一市場」から離脱する用意があることを表明し、EUとは新たな貿易関係の構築をめざす構えを示すとみられる。
英メディアが報じた演説要旨によると、メイ氏は「確実性と明瞭さ」「より強く、より公正でグローバルな英国」を交渉の基本理念とし、12項目の目標事項を掲げる。演説では、EUとの関係では「独立し、自治を持ったグローバルな英国と、EUの友や同盟国との間で、新しく対等な関係を希求する」と述べる見通し。
メイ氏はまた、「部分的な加盟や準加盟など、中途半端なものではない。すでに他国が享受しているモデルは求めない」と述べるとみられ、単一市場からの離脱を事実上表明。ノルウェーのように単一市場への参加と引き換えにEU移民の自由な移動を受け入れる欧州経済領域(EEA)型の協定も目指さない構え。
ただ関税や貿易の障壁を撤廃し、加盟国以外の国に共通の関税率を設定するEUの関税同盟からも離脱する用意があるかは明らかになっていない。(ロンドン=渡辺志帆)