堺市北部地域整備事務所(同市北区)の煙突の解体工事で基準値の255倍のアスベスト(石綿)が検出された問題で、大阪府警は17日、工事を発注した市建築部の担当課長ら4人と市を、大気汚染防止法違反の疑いで書類送検した。捜査関係者が明らかにした。
捜査関係者によると、担当課長ら4人は工事前に、石綿規制を担当する別の部の環境対策課に、煙突の建材に石綿が含まれていることを伝える義務があるが、これを怠った疑いがある。また、施工業者に石綿対策を指導する立場にありながら、市が部署間の連絡を怠った点を悪質と判断。同法の両罰規定を適用して法人としての市も送検した。
堺市によると、煙突は内部に石綿が使われていないかを確認しないまま昨年6月に解体が始まり、隣にある保育園にがれきが落下。分析すると、基準値を上回る石綿を含んでいた。石綿は繊維状の鉱物で、空気中に飛散したものを吸い込むと肺がんや中皮腫などの原因となる。
2014年6月施行の改正大気汚染防止法では、石綿を含む施設の解体工事で、発注者は石綿がどの部分で使われ、どんな方法で解体するか、工事の2週間前までに自治体に届け出なければならないとの規定が盛り込まれた。